デザインは労働対価ではない!デジタル時代のデザインにも価値を与える明朗な見積り「キービジュアル制作費」

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商業広告を中心に10年以上デザインの仕事をしていますが、クライアントへ提示するデザイン料金の設定で困ったことがありました。

それはデジタルデータに対する料金の設定です。

デジタルデータといっても、WEBデザインやLINE広告・バナー広告に対するデザイン料金と言うわけではありません。

印刷物のチラシをWEBで使いたいからデジタルデータが欲しい、自社ECサイトでチラシ用に撮影したデータを使いたい。といった時のデジタルデータに対する料金設定、いわゆるデータの二次使用です。

だれでもスマホを使うようになり、ECサイト転用・LINE広告転用・さらにはデジタルサイネージへの転用ということが一般的になってきている今だからこそ、どのクライアントでも起こる問題です。

このデジタルデータに対して料金を請求すると「えっ?」っとなるクライアントが意外と多いんです。クライアントからすれば印刷物作るときにお金払ったでしょ?という気持ちなんだと思います。まぁ、正直その気持ちもわかりますが・・・。

「うちがお金払って作ってもらったチラシだからデータをちょうだいよ」「うちの商品で撮影したんだからその写真はうちのものでしょ?ウェブで使いたいからデータちょうだいよ」「だいたい作業自体簡単でしょ?」というクライアントが意外と多いんです。

ですがチラシにおけるデザイン料・撮影料は、最終的な制作物に対する料金であり、作ったデータ・撮影したデータの料金ではありません。(二次使用を考慮した見積りを最初から提示していれば別ですが)

こういったクライアントとデザイナー間の、認識のギャップは少なくありません。

そんな時に目に止まったのが日経デザインに書かれていた、「キービジュアル制作費」という考え方。
菊地敦己事務所 アートディレクター 菊地敦己氏が、見積もり方法を改め新たに導入した項目です。

この考え方がスゴく良く、現状の問題点をクリアしつつ、デザイナー・クライアント双方にメリットがあると感じたので紹介したいと思います。

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一般的な見積もり方法

デザインの仕事を請け負っている人ならわかると思いますが、チラシを作ったらそれに派生してDMやポスター、WEBへの転用を頼まれることが少なくありません。

一般的な見積もり方法の場合、「ポスターデザイン費」「チラシデザイン費」「DMデザイン費」など、項目ごとにデザイン費が発生します。

見積りの例

ポスターデザイン費 80,000円
チラシデザイン費 100,000円
DMデザイン費 60,000円
合計 240,000円

といった感じです。

大きな案件なら、ディレクション費用を別途とることもありますが、小さな案件だとそれも難しいのが現状ではないでしょうか。

一般的な見積もり方法の問題点

design_mitsumori-01

デザイナー側

  • デザイン料金が制作物の数に左右される
  • デザイン料金が労働対価だと誤認されクリエイティブ部分が軽く見られてしまう
  • デジタルデータ転用の料金を取りにくい

クライアント側

  • デジタルデータ流用に使用料が発生する
  • デザイン費が制作物の数に左右されるため、新しい広告媒体に挑戦しにくい
  • 追加料金が発生する事もあり見積りが不明瞭

こういった見積り方法の場合、デザイン料は労働対価だとクライアントに誤認される事がよくあります。
Lancersクラウドワークスのようなクラウドソーシングの料金設定を見れば明らかですが・・・。割りきって使えばかなり使えるサービスですけどね。

そしてもうひつ問題なのが、デザイナー自身もデザイン料が労働対価だと考えている人が多い点です。

クライアントが抱える問題点・やりたい事・売りたい商品を踏まえ、その道筋を考え整理し、提案するといったプロセスが非常に重要ですが、そのキーとなる部分を極力省きとりあえず広告物を作ってしまう。という状態になりかねません。

「キービジュアル制作費」という考え方

とはいえ、そんな行為は真綿で首を締めるようなものです。

効果のないものに広告費を投入してくれるクライアントなんていませんから、後々広告予算を削られ、最悪の場合取引そのものが無くなってしまうかもしれません。

労働対価にお金を払うのではなく、業績向上・問題解決の投資として広告費が位置づけされていなければ削られるのは当然の流れです。

そこで本書で書かれていた「キービジュアルデザイン費」という考え方です。

今までは「ポスターデザイン費」「チラシデザイン費」「DMデザイン費」など、項目ごとに発生していたデザイン費を「キービジュアルデザイン費」という項目に集約する見積り方法です。

この項目が基本となるデザイン費を確保し、デザインの基本料金という位置づけで画像データの使用料も含まれます。

見積りの例

キービジュアルデザイン費 200,000円
ポスター制作費 10,000円
チラシ制作費 20,000円
DM制作費 10,000円
合計 240,000円

といった感じです。

新たに追加した「キービジュアルデザイン費」が基本となるデザイン費を確保し、ポスターやDM、WEBなどの他の制作物にカスタマイズして使用する場合に、個別の制作費を上乗せ。この場合の制作費は単純に人件費です。

デザイン費ではなくカスタマイズするための費用として提案し、広告を他媒体に展開しやすくなる明朗な見積りです。

キービジュアル制作費によるメリット

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デザイナー側

  • デザイン料は労働対価ではなく、業績向上・問題解決の投資だと示せる
  • 制作物が減っても収入の変動が少なくて済む
  • デザインそのものに価値を与えることが出来る
  • デジタルデータにも対価を与えることが出来る

クライアント側

  • デザインの目的が投資であるということがわかりやすい
  • 画像データを自由に使用できる
  • 広告を他媒体に展開しやすくなる
  • 見積りが明朗

この見積り方法ならクライアントにも受入れられやすく、デザインそのものに対価を与えつつ、WEBやデジタルサイネージといった他媒体への広告展開が安価で容易にできるようになります。

デザインの基本料金という位置づけで画像データの使用料も含むことで、デジタル化したデザインにも対価を与えられ、今の時代にあった明朗な見積りをすることが可能です。

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今後はデザイナーの労働対価にお金を払う
クライアントはこの先どんどん減っていく

ただ作るだけならWordでもできるような時代です。そしてクラウドソーシングが一般化してきて個人のデザイナーが参入しやすくなっています。

個人的には本当にいい時代だなぁと思う反面、デザインをマネジメントする技術がさらに重要になってきており、言われた通りの仕事(作業的なデザイン)だけでは生き残れません。

「キービジュアル制作費」を導入するということで基本のデザイン料を確保できますが、逆に言うと労働対価に払うお金は減るという考え方でもあります。

クライアントが抱える問題点を洗い出し、その道筋を考え整理し、提案するといったプロセスが非常に重要です。少しコンサルティングに近いイメージですが、この部分をいかに提案できるのか、そしていかにマネタイズすることが出来るのかが、今後デザイナーに求められる部分だと思います。

デザインに対する顧客の要求は日々厳しくなっていると思いますが、デザイナーの地位をデザイナー自身が低くしてしまわないよう良いものを作っていかなければいけませんね。

それにしても日経デザインは戦略的なデザイン情報誌としては面白いんだけど、値段が高い上に本屋に売ってないのが難点なんだよなぁ・・・。(ちなみにページのバラ売りもあるみたいです)

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